遠山記念館トップ> コレクション> 日本染織> 梅に弓箭箙兜模様振袖(緑縮緬地 染・繍)
江戸時代後期(19世紀)
丈154.0㎝ 裄60.5㎝
緑縮緬地に染めは、すべて白上げで色挿しはなく、紅の濃淡.白.茶.黒.金銀糸の精巧な刺繍が華やかな振袖です。模様は、満開の梅の古木と茅門を前後身頃に配し、その中に兜に弓と箙、そして門横には折れた矢が表されています。紅白の梅に武具という謎めいた模様は、能「箙」に取材しています。寿永三年(1184)の春、源平両軍による須磨、生田の森の合戦に、源氏の梶原源太景季が、梅の枝を箙に指して戦い、功名をあげたという故事によるものです。
江戸時代後期の武家女性の小袖模様には、御所解模様という、風景の中に象徴的なモチーフを配し、能や物語などの文芸的内容を加味した意匠が好まれました。