遠山記念館トップ> コレクション> 日本染織> 流水に雨銀杏色紙模様帷子(黄麻地 友禅染・繍)
江戸時代中期(18世紀)
丈148.3cm 裄62.0cm
黄色の麻地に、銀杏の折り枝と色紙散らしを中心に、肩には時雨、腰から裾には渦巻く流水が配されています。時雨に舞い散る銀杏の葉と色紙の動と静、時雨の斜線と流水の曲線というように、対照的な意匠構成です。そのため散らし模様の全体に変化が生まれています。これら模様には隠された主題はうかがえませんが、それがかえって見る人に自由なイメージを持たせてくれます。
技法は、華やかで絵画的な友禅染と刺繍が加えられています。色紙や短冊に施された友禅染による細かい割り付け模様は、年代の明らかな打敷などの資料にも見られ、この一領が江戸時代中期も終りに近い頃の作品であることがわかります。また、草花を配した丸や色紙を散らす意匠は、貞享5(1688)年刊行の『友禅ひいなかた』などに多く見られ、友禅染向きの意匠が、貞享頃から受け継がれていたことがうかがわれる一領です。