江戸時代中期-後期 18-19世紀
高32.5(男雛)
雛人形は大別すると立雛と座雛があります。立雛は、文字通り立ち姿の雛人形のことで、衣裳の多くが紙製であることから、紙雛ともいわれていました。雛人形の中で最も素型的な形を残したもので、後に座雛が現れ、普及してその主役の座が奪われるものの、江戸時代を通じて製作され、精巧で華美なものも多く作られました。本作品はその一例で、京都の人形師雛屋次郎左衛門(ひなやじろうざえもん)が考案した、引目鉤鼻(ひきめかぎばな)を特徴とする“次郎左衛門頭(がしら)”の立雛です。男雛は烏帽子(えぼし)をかぶり、下り藤に松模様の小袖と袴、女雛は小袖に細帯をしめ、素朴な姿をしています。その独特な表情や現在も褪せない金箔の美しさは特筆すべきものであり、所蔵品の中でも大変人気の高い作品となっています。