遠山記念館トップ> コレクション> 日本人形> 五月人形「熊と金太郎」
二代目平田郷陽作
昭和時代初期 20世紀
高34.8
遠山家の五月人形です。作者の二代目平田郷陽は、東京浅草の生まれで、父は生人形師として初代の郷陽を名乗りました。生人形とは、まるで生きているかの様に本物そっくりに作られた人形をいいます。
大正13年(1924)には、二代目郷陽を襲名し、当初は生活のために節句人形やマネキン人形などを制作しましたが、その後「人形芸術運動」の中心的存在になり、人形作家として次々と作品を発表していきました。昭和30年(1955)には重要無形文化財衣裳人形の認定保持者となっています。
写真のような金太郎や様々な子ども姿は、郷陽の得意とする題材のひとつですが、本作は、類例の少ないとされる郷陽の初期(昭和2〜3年頃)の作品です。人毛による頭髪、立体的に仕上げられた眉、丹念に植えられた睫、微妙な反りを加えた指、一層のリアルさを追求した肢体などには、初期作品に共通する典型的な作風が現れています。その確かな表現力は、単なる写実を超え美に昇華され、圧倒的な存在感を人形に与えています。