江戸時代中期-後期 18-19世紀
高63.0(男雛)
江戸時代中期以降になると、雛祭りも盛んに行なわれるようになり、様々な種類の雛人形が作られていきました。それとともに、人形の面相、頭(かしら)の形、衣裳、調度品などにも時代の好みが反映され、現在のように鑑賞性の高い姿へと移り変わり、そしてこれが日本独自の人形文化を築いていくことになりました。
「享保雛」は江戸時代の代表的な雛人形で、享保頃(1716〜36)を中心に流行したといわれています。頭は男雛、女雛ともに髪が植えられ、切れ長の目元と、能面のような深い精神性の感じられる面長の顔が特徴です。衣裳は、金襴(きんらん)や錦(にしき)などを使った豪華なもので、男雛には束帯風の装束、女雛には十二単風の装束が着付けられており、また男雛は太刀を差して笏(しゃく)を持ち、女雛は檜扇(ひおうぎ)を持ち、宝冠(ほうかん)を戴いています。
有職から離れ、町人好みの派手で華やかなものが多く作られました。左右に張りだした男雛の両袖と、綿を詰めて大きく膨らんだ女雛の袴姿もこの雛の特徴となっています。