遠山記念館トップ> コレクション> 日本陶磁> 古伊賀耳付花生
桃山時代 16-17世紀
高28.4 口径13.4. 底径13.0
両肩にざっくりとした耳を持つ花生。やや扁平にゆがんだ口縁部と肩下に一気にめぐらした箆(へら)描(が)きの線に加え、胴部にも力強い縦(たて)箆(べら)が躍ります。よく焼きしまった器肌は正面と背面の調子が全く異なっています。正面は全体に艶があり、白味がかった胎土に現れた緋色と肩にたまり脇に流れ落ちるビードロ釉の緑、そして口縁部から胴に一筋垂れる褐釉と変化に富んだ色彩をまといます。一方で背面は上から下まで岩のようなかせた肌で、とくに下方は枯れた墨色に変化しています。この花生の背面には小穴を漆で埋めた跡があり、もとは掛花生としても用いていたものを、後に置き花生としてのみ使うようになったと考えられます。