遠山記念館トップ> コレクション> 日本絵画> 佐竹本三十六歌仙絵 頼基像
鎌倉時代 13世紀
紙本著色 36.6×59.9cm
重要文化財
佐竹本は、出羽秋田藩主・佐竹家に伝来した現存する最古の歌仙絵として知られます。もとは上下二巻の絵巻でしたが、大正8年、歌仙ごとに切断されて掛幅装となり、現在は諸家に分蔵されています。略伝と詠歌を添えた大中臣頼基像は、垂纓の冠をつけ、黒袍・束帯に身をつつみ、右手に持った笏を脚につく姿に描かれます。冠と袍の黒い部分にみえる白い衣文線は、絵具を塗り残して表現したもので「彫塗」とよばれる彩色技法。面貌には、繊細に細線を重ねて像主の個性を表現する「似絵」の手法が用いられています。料紙の大きさに対し、歌仙がやや小振りであるのも佐竹本の特徴です。頼基は、六代に亘り高名な歌人を輩出する大中臣家の基を成した人で『頼基集』が伝存します。