• 風神雷神図　2曲1双
• • 日本絵画
  • Japan

安田靫彦（1884－1978）
昭和4年（dated 1929）
紙本著色　各177.1×190.4

緑色の髪を靡かせて天空を縦横無尽に駆け回るふたりの若者。安田靫彦の考えた「鬼になる前」の風神と雷神です。「風神雷神」といえば、俵屋宗達のそれを思い浮かべる方が殆どでしょう。どこかユーモラスながら、筋骨隆々とした鬼形の二神。以来数百年、すっかり定着した感のある鬼神たちの新たな姿を、靫彦は模索します。シルクロードを遡るように風神と雷神の源流を探り見出した、ギリシャ文化圏の風神アネモス、ゾロアスター教（ペルシャ）の風神ヴァドー、古代インドの雷挺神インドラ、ギリシャ神話の主神ゼウス等々に、宗達も参考にしたといわれる蓮華王院の風神雷神像（鎌倉時代）、さらに興福寺の阿修羅像（奈良時代）の造形も加味して生まれたのが、この風神雷神図です。古の神々を内包した若々しい姿には、人類文明の悠久のロマンさえ感じられます。