池田 孤邨(1801-66)
江戸時代 19世紀
紙本金地著色 56.6×169.3
池田孤邨は、琳派を江戸の地に定着させた酒井抱一の高弟のひとりです。この百合図をはじめとした、優れた作品が徐々に知られるようになって、近年注目されてきています。見る者を白日夢に誘うかのような見事な装飾美を堪能させてくれる百合図は、表と裏の両面にそれぞれ趣の異なった百合の花が描かれる小屏風です。表面には、金地の画面狭しと大輪の白百合が様々な表情を見せて咲き競い、変わって裏面に描かれるのは、銀地に淡紅色の可憐な百合です。両者は、金地と銀地、大輪と小輪、白と紅という具合に明確に対照が意図されており、二つの画面の呼応が一つの作品の完成度を高めるという、江戸琳派らしい機知のきいた洒脱な趣向の作品になっています。