遠山記念館トップ> コレクション> アンデス染織> 獣神文様刺繍裂
ぺルー パラカス文化(前500-前200年頃)
木綿・獣毛
5.4×37.5
ペルー南部海岸砂漠地帯のパラカス文化は、その墓地跡から華麗な刺繍の衣装をまとった多くのミイラの出土で知られています。奇妙な人物を2人刺繍したこの細長い裂は、そのようなマントや貫頭衣等の衣装を飾っていたものの一部であったと考えられます。木綿平織地(ひらおりじ)に返し縫いの刺繍技法で、文様だけではなくその背景も埋め尽しています。
奇妙な人物が吐き出す蛇に似た生物の先端には首級(しゅきゅう)がついています。また上衣と褌(ふんどし)をつけた胴体は人間らしい形であるが足には鋭い爪があり、手にはナイフや首級を持つことから当時信仰されていた獣神と考えられます。使われている鮮やかな赤色は調査で茜染(あかねぞめ)による染色であることが判明しました。