遠山記念館トップ> コレクション> 中近東美術> 円文様カットガラス碗
イラン ササン朝ペルシア 6-7世紀
高7.8 口径11.2
3-4世紀の中国・晋時代には、ガラス碗を詠った詩が作られました。漢人からその透明無垢の輝きを愛され、「夜光の杯」という美しい名で呼ばれたガラスの器は中国産ではなく、遙か西方の国ササン朝ペルシアで造られました。壊れやすさをものともせず、シルクロード8000kmの道を、隊商の駱駝の背にゆられて運ばれたものでした。
このカットガラス碗は表面が風化していることから、出土品となりますが、表面を切削して表した凸出円文様ははっきりしていて、ササン朝の特徴的なデザインといえます。京都上賀茂神社から出土したガラス碗片などと共通しています。ちなみに、正倉院宝物の白瑠璃碗は、皇室、豪族の宝器として代々受け継がれた希なる伝世品で、始めの輝きをそのままに保っています。聖武天皇の遺愛品を納める正倉院に収蔵されています。そちらは、小さい80個の円形切子が掘られています。